守ってダーリン!
市谷さんは、おかゆも、取り分けた分のスープも全て完食してくれた。

「スープはまだお鍋にたくさんありますからね。

あ、栄養ドリンクもあるので、よかったら飲んでください。」

買ってきた薬を飲んでもらい、後片付けを済ませた私は、そう説明しながら帰り支度を整えていく。

「じゃあ・・・もしまた何かあったら言ってください。

あ、えっと・・・とりあえず龍平くんに。」

自分の連絡先を渡そうかと思ったけれど、そうすると、連絡くださいってアピールしているみたいだし、なにより、市谷さん曰く「よく知らない男」に自分から連絡先を渡すのは、また注意されてしまう気がしてやめておいた。

「よく休んでくださいね。それじゃあ、お大事に・・・。」

玄関先まで見送ってくれた市谷さんに、私は軽く頭を下げる。

そして、外に出ようとドアノブに手をかけたときだった。

「里佳さん。」


(えっ・・・?)


呼ばれたその声に、胸が震えた。

後ろを振り向いた私と、市谷さんの視線が絡まる。

真っ直ぐな瞳から、私は目をそらせない。


(初めて・・・名前、呼んでくれた・・・。)


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