守ってダーリン!
「失敗?」

「ああ・・・まあ、その・・・味とか、いろいろ。」

何かを誤魔化すように、市谷さんはビールを飲む。

とりあえずいろいろなことを考えてくれていたようで、私はなんだかうれしくなる。

「よく行く居酒屋さんは、おいしいんですか?」

「そうだな。なに頼んでもうまい。」

「へえ・・・常連さんばっかり、みたいなところですか?」

「そう。行きつけると、ああいうところは落ち着くから。」

「そうなんですか。

いいな。私、そういうところ行ったことがないので、一度行ってみたいです。」

何気なく感想を述べた私を、市谷さんは横目で見つめる。

「・・・里佳さんが行きたいなら、連れてくけど。」

「えっ!」

まさかのお誘いに、私は飛び上がるような気分になった。

「本当ですか?」

「ああ。キレイなとこじゃないけど。里佳さんがよければ。」

「はい!行きたいです!」

「じゃあ・・・今度行こうか。」

市谷さんが優しく微笑む。

うれしくてうれしくて、私はもう一度「はい!」と答える。

「常連ばかりの居酒屋さん」に行けることももちろんだけれど。

市谷さんと次の約束が出来たことが、私は何よりうれしかった。





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