守ってダーリン!
「ありがとうございました。」

結局、自宅マンションまで送ってもらった私は、エントランスの前で市谷さんに頭を下げた。

「いや。・・・じゃあ、また連絡する。」

「はい。」

市谷さんが、優しく笑う。

それだけで、私はうれしくて幸せで、胸がいっぱいになってしまう。

市谷さんは右手をあげると、また駅の方向へと戻って行く。

私は、その大きな背中が見えなくなるまで見送ってから、マンションの中へと入っていった。

エレベーターで6階に上がり、家の鍵をガチャリと開けた。

部屋の中は、まだ暗い。


(お姉ちゃん、まだ帰ってないんだ・・・。)


時刻は22時。

いつもならもう帰ってきている時間だけれど。

残業かな、と考えながら玄関の施錠をしようとすると、「入るー!」という聞きなれた声が聞こえ、私はドアを慌てて開いた。

「ごめんごめん!ちょうど里佳が見えたから。」

玄関の中に入ると、そう言って姉はハイヒールを脱いでいく。

「残業?」

「うん。で、ついでにごはん食べてきちゃって。」

「そっか。」

二人でリビングに入ると、姉はにやりと私を見た。


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