守ってダーリン!
目的の居酒屋は、ここから歩いて数分の距離だと教えてくれた。

「楽しみです。」

何気なく私が言うと、市谷さんは苦笑する。

「あんまり、女の子が喜ぶような店じゃないと思うけど。

とりあえず、料理はなんでもうまいから。」

「はい。」

市谷さんが通い続けているお店。

どんなところなんだろう。

わくわくしながら歩いていると、暗がりに、ぼんやりと灯る看板の明かりが見えてきた。

「住みよし」と書かれたお店の前で立ち止まると、市谷さんは私を見ながら忠告する。

「ほんとに、常連ばっかりなんだ。

だから、みんなあんまり遠慮がないっていうか。

何か言われるかもしれないけど、適当に、軽く流してくれればいいから。」

私が「はい」と頷くと、市谷さんはお店の引き戸をガラガラと開けた。

「こんばんは。」

「あら、市谷くん、久しぶり!」

元気な声がカウンターの中から聞こえた。

見ると、「お母さん!」と飛びつきたくなるようなふっくらとした年配の女性が、こちらに笑いかけている。

「あら?」

ほどなくして、女性は私の方を見た。

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