守ってダーリン!
上映が終わり、照明が明るくなると、私たちはシートの位置を元に戻した。

「キレイでしたね。見入っちゃいました。」

私が感想を述べると、市谷さんは「そうだな」と言って小さくうなずく。

「最初は眠くなるかと思ったけど。久しぶりだし、思ってたより良かったな。

里佳さんが隣にいたから、緊張したけど。」

「えっ。」

甘い横顔が、私に語る。

市谷さんは立ち上がると、固まった私に「行こうか」と言って声をかけた。

劇場の扉はすでに開いていて、お客さんたちは続々と外に出て行っていた。

市谷さんの後に続いて扉を抜け、ロビーに向かう廊下に出てから、私は彼の隣を歩く。

前を歩くお客さんに続いてゆっくり廊下を進んでいると、「待て待て〜!」「わー!」という子供たちのはしゃぐ声が聞こえ、私はその方向に目を向けた。

ふざけあう男の子たちが後ろから近づいてきたと思うと。

ドン!

「きゃっ!」

思いっきり私に激突。

けれど男の子たちはノーダメージで、「すいませーん」と言いながら何事もなかったように去って行く。


(いてて・・・って、わっ!)
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