思い出にっき
階段をのぼってすぐ左側にあるジュース屋さんはいつもおいしそうだなぁと思うけど、飲んだことはない。
改札をでると、日差しが眩しかった。6月だというのにこの暑さはいったいどうなっているんだ。

すぐに背中が汗ばんでくる。夏が始まるんだ。
昔ほどわくわくしなくなったのは、自分の身の程がだんだんわかってきたからなのかな。今年も期待なんてしてない。

駅から5分ほど歩いて仕事場につくと、まだ誰も来ていなかった。
裏口の鍵を開けて中にはいるとむーんとした暑い空気に囲まれた。

急いで冷房をつける。
カバンを自分のロッカーにいれて、とりあえず冷房の風が直接当たるところにいく。

ふと壁にかかっているカレンダーを見ると、今日が6月26日であることに気付いた。

今日は3年前あなたと付き合いはじめた日。

なんで急に思い出したんだろう。付き合っていたのもたった1年で、今では連絡も取っていないのに。

好きとかそういう感情はないけれど、なんとなく思い出してしまった。
別れてもう2年もたっているのに。

未練があるとすれば、あの時の自分に。
別れたあの日、初めて人を愛することの意味が少しわかった気がした。

だから別れたあともそんなにつらくなかった。
一人になる淋しさはあっても、あなたじゃなくちゃいけない理由は見当たらなかったから。

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