another way【完】
「………………えっ?」
「ごめん…ごめん…
お父さん…不倫してた…ごめん…
それで、離婚しようって言うから…
美紘のこと考えずに…
お母さん…お父さん、追い出しちゃった…」
娘は、戸惑いつつも
私の背中を擦り続けてくれた。
そして、娘の希望で
中学卒業までは
名字を変えないことになった。
私達の離婚手続きも済んでいないため、
向こうの女性とは
まだ入籍していないようで
美紘の卒業まで
別居という扱いで過ごすこととなった。
不思議と、
相手の女性に怒りは沸いてこなかった。
彼を引き留められなかった
自分への情けなさと
娘への罪悪感と
私と娘を捨てた彼への
明確な裏切りで
胸がいっぱいだったからかもしれない。