博士と渚くん

「野菜は水洗いだよ、洗剤つけないよ!」
「包丁の持ち方違うから! 危ない!」
「じゃがいもは芽を残さない!」

うぅっ……。
キッチンに立つ私のすぐ後ろで、渚くんはオロオロしながら指導してくれる。

渚くんを布団から出すことに成功。

……本当はそんなこと考えてなかったけど。
つきっきりで面倒見られなきゃならないなんて、なんとも情けない私。

「……あ、カレールー忘れた」

「え!? 何を作る気だったの!?」

「…カレーライス。買って来ます」

私は財布だけを持って外へと繰り出した。
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