博士と渚くん
車のブレーキ、野良犬の鳴き声。
そんな音が聞こえるたびに体が跳ねる。
渚くんのおかげで明るいうちは一人で外出できるようになってきた。
だけど夜はまだ無理。渚くんと二人でやっと。そんな感じだ。
「ほんとバカだな。逃げずに祝福してあげていたら、こんな事にもならなかったのに」
一人呟く。
そもそも、いつから渚くんを自分のもののように錯覚していたのか。
何を寂しがる必要がある?
何を苦しむ必要がある?
彼は私の隣にいてくれた。
だけど、最初から私だけのものじゃない。