博士と渚くん
渚くんの出現に怖気付いたおじさんはどこかへ去っていった。
渚くんはさっきまでおじさんがいた所に座る。
渚くんの体温が腕に伝わってくる。
なんだかすごく安心した。
「心配したんだからね。全然帰って来ないし、携帯忘れてるし、空は真っ暗だし。
何でここまで来たの?」
「だって…帰ったらスミレちゃんがいたから。私、邪魔だったでしょ」
「何でスミレがいたら博士が邪魔になるの? 俺は今まで一度も博士を邪魔だなんて思ったことないよ」
「スミレちゃんのこと好きなんでしょ。聞こえたんだよ?」
言葉に出した瞬間とうとう涙が溢れてしまった。
「え、どういうこと?
俺がスミレのこと好き? てか何で博士泣いてんの!?」
渚くんはうろたえた様子で、私の顔を袖で拭く。汚れるよ?