博士と渚くん
「……。
あーもう、何言わせんの。俺、情けないな」

「情けなくないよ。嬉しいし」

「情けないよ。好きな人を幸せにする自信なくて、こんなことしてんだもん」

「私の幸せを心から望んでくれた証でしょ。渚くんはちょっと勘違いしてただけだよ」

「博士が兄ちゃんに恋してなかったってこと? 恥ずかしいから思い出させないで」

「それもだけど、そっちじゃなくて。
私の幸せは、君が隣にいることが大前提って、わかってないでしょ?」

言い終えた私を渚くんがじっと見つめた。
そして唐突に動き出したと思えば、唇に柔らかい感触。

マウストゥマウス。つまり正真正銘のキスだ。
< 134 / 148 >

この作品をシェア

pagetop