博士と渚くん

進路相談室の中で二人が話している。
私は扉に耳を押しつけて盗み聞きをしていた。

…ばれたら渚くんに怒られるかもなぁ。



「宮地、あの子どもについて説明して欲しい」

「イトコですよイトコ。
叔母が今日家を留守にするから、預かるよう頼まれたんです。さっきも言ったじゃないですか」

「本当にイトコか? 俺の知ってる奴にそっくりなんだが」

教師の言葉に悪寒がする。
その知ってる奴っていうのは私のことか? 卒業して5年も経つのにまだ覚えてんの?

そりゃ、私にとっては忘れられない思い出だけどさ。

< 14 / 148 >

この作品をシェア

pagetop