博士と渚くん
進路相談室の中で二人が話している。
私は扉に耳を押しつけて盗み聞きをしていた。
…ばれたら渚くんに怒られるかもなぁ。
「宮地、あの子どもについて説明して欲しい」
「イトコですよイトコ。
叔母が今日家を留守にするから、預かるよう頼まれたんです。さっきも言ったじゃないですか」
「本当にイトコか? 俺の知ってる奴にそっくりなんだが」
教師の言葉に悪寒がする。
その知ってる奴っていうのは私のことか? 卒業して5年も経つのにまだ覚えてんの?
そりゃ、私にとっては忘れられない思い出だけどさ。