博士と渚くん


「また失敗ですか? 懲りないですね」

研究室のドアが開き、男子が入ってきた。

研究室って言っても古いし狭いし設備も整っていない。

…というか、古いアパートの一室だ。

「おかえり渚くん」

男子に声をかける。
日本人離れした端正な顔立ちの彼は、宮地渚くん。
隣の部屋に住む男子高校生だ。

「いい加減素直に働けばいいのに」

「働いたら負けだと思ってる」

「うわー、潔いクズだ」

渚くんはケラケラと笑った。

< 2 / 148 >

この作品をシェア

pagetop