博士と渚くん
「ピーマンね! はい!」

八百屋のおばちゃんは人の良さそうな笑みで渚くんにピーマンの袋詰めを渡した。
その濃い緑色の物体は私を不幸な気持ちへ陥れる。

「ピーマンいやぁ…」

渚くんに懇願するも聞き入れてなんてくれやしない。

「あらあら、その子ピーマン嫌いなのかい?」

「そうなんだ。好き嫌い多くて」

「まぁうちのは特別美味しいからね! ほら、オマケしてあげるからいっぱい食べさせてやりな!」

ピーマンをもう一袋渡された。
私にはこのおばちゃんが悪魔のように見える。

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