博士と渚くん
「今日の夕食はー、ピーマンの肉詰めと、ピーマン炒めとピーマン炒飯です」
テーブルに並べられるピーマン尽くしの料理達。殺す気か。
「絶対に食べないから!」
「え……せっかく頑張って作ったのに」
渚くんが悲しげな表情で瞳を潤ませる。
何度でも言う。この表情は反則。
まるで悪いことでもしたかのような罪悪感。
「……っ、わかった! 食べるからその顔やめてよ!」
私が了承すると、渚くんはころっと表情を変える。
予想はしてたよ、演技だって。
ただ、演技だってわかっててもあの表情は見たくない。
「あーんしてあげようか?」
「自分で食べれるよ」
私は恐る恐る炒飯に手をつけた。