博士と渚くん
「……」
部屋に一人、私はテレビゲームをしていた。
昨日気絶している間に、渚くんが全て塗り替えていったゲーム内のランキング。
なんとか自分の記録で更新しようとは思うけど、全く敵わなかった。
「あーもう!」
なかなか帰って来ない渚くん。
風で揺れる窓や、外から聞こえる物音にも体が反応する。
いつもより敏感だ。
「うー、絶対今日会ったせいだよ」
小さく呟いた。
久しぶりに見たあの男。いまだに怖いと感じた。
「鍵はちゃんと閉めたし…大丈夫だよ、うん」
深呼吸をする。落ち着け私。もう22才だってのに情けない。