博士と渚くん
「どうしたの?」

「その、戻ったんだけど」

「そうみたいだね」

「あの…」

にっこりと笑う渚くん。
私の言いたい事がわかってる。そんな笑み。

「ズボン貸してください」

「俺のズボンは高いよー?」

「背に腹は代えられぬ」

渚くんにポイっと投げられたジャージに足を通す。

渚くんへの借りがひとつ増えた。
返さなきゃいけない借りも山ほどあるのに。

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