博士と渚くん
私はなぜ寝ていたのか。

少し考えるとすぐにその答えを思い出した。

そうだ。渚くんにもらったクッキーを食べて気を失ったんだった。

てか犯罪じゃない? 私だからよかったものの、食べて気を失うクッキーなんてただの毒物だ。


「あ、おはよう博士」

「……」

渚くんは私がじとっと睨んでいることに気付いた。
画面上の“新記録”という文字を確認した後、コントローラーを手放してこっちに寄ってくる。

……あれ? 渚くんがいつもより大きい気がする。

「問題です。博士が食べたクッキーには何の薬が入っていたでしょーか?」

「何の薬? 気絶させるやつじゃないの?」

「ブッブー。気絶するのは副作用だよ。
本来はもっと別の目的」

「……?」

わからない。だけどわからないなりに頭を働かせていると、渚くんは大きな鏡を持ってきた。
私の寝室にあるはずの姿見の鏡。
一体何故ここに。

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