博士と渚くん
その後は家に帰り、渚くんスパルタ教育のもとで、台本を覚えさせられた。
深夜1時には本なしで全員分のセリフを暗唱できるようになったけど、ここまでする意味はあるのかな。
ちなみに渚くんによると、王子役の新田くんは学年一もてるらしく、クラスの女子を村娘役にしてしまえば暴動が起こる可能性まで示唆されたらしい。
だから男子で、なおかつ女装に違和感のない渚くんが指名された。
だけど決定した次の日から、女子達が何故か二人をホモカップルに認定してきた。
そんな不名誉なことを許せない渚くんは、学校とは何の関係もない私を劇に引きずり込んだらしい。
「てか新田も悪いんだよ。あいつ、女子苦手かなんだか知らないけど、女子と仲良くしないから。
あいつがそっちの人扱いされるのはいいけど、そのせいで俺までそんな扱いは嫌だ」
「そっかー。なるほどなるほど。
……寝ていい?」
「しかもそのせいで一部の男から告白されるようになった俺はもう、どうすればいいのって話! 何にも嬉しくないし身の毛もよだつ!」
「……ほぅ」
眠たい。のに寝れない。
結局、渚くんが愚痴をこぼし終えたのは午前4時だった。