博士と渚くん
帰り道。
いつも通り、夜道を渚くんと歩いていた。
「久しぶりの文化祭どうだった?」
「思ってたよりもずっと楽しかったよ」
「それはよかった」
寂しかった高校時代を後悔する程度に楽しかった。
こんな知識ばかり詰め込むよりも、楽しい思い出を詰め込みたかった。
今となっては後の祭りだけど。
「渚くん」
「ん?」
「渚くんは、いっぱい楽しんでね」
「言われなくても毎日楽しいよー」
渚くんは要領がいいから私と同じ過ちは繰り返さないだろう。
だけどなんとなく、無理しているようにも見えた。
私の気のせいかもしれないけど。