博士と渚くん

「あのさ、実はめちゃくちゃ大切な話があるんだ」

うどんを息を吹きかけて冷ます司さんが話し始めた。
嬉しそうに頬を緩めながら。

「金なら貸さないよ」

「違うし。金はお前より持ってるっての。社会人なめんなよ」

真剣な表情の渚くんに、司さんはつっこんだ。

「実はさー」

ドキドキ。何の話だろうか。

「俺、結婚することになったんだ」

照れた様子で薬指につける指輪を見せてくる。


司さんのおめでたい報告に、思わず拍手を贈りながら祝福した。
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