電波に乗って

席に着くと早速歩美が言う。
最近どうなの?
どうって?
彼と……。
あぁ…普通だね。

普通……そう普通。
可もなく不可もなくって感じ。

『莉子は結婚とか考えないの?』
歩美らしいストレートな質問。
「ん~、通り過ぎたのかもね、そういう時期」

『アホ。いい?あんな好条件の男は逃がしたらダメ』
「条件?たまたま好きになった人が好条件だっただけでしょ?」
『まぁ…アンタの場合は純粋にそうだけどさ~』
「したくなったらするよ、結婚。」

したくなったら…なんて時期はとっくに過ぎているのだ。
アタシも裕二も。


『あ~アタシ一生独身だぁ。莉子に捨てられるぅ』
歩美はふざけてよくこれを口にする。
応援しながらアタシが家庭に入ってしまうことに
不安があるらしい。

「大丈夫。当分先だから、それに結婚するかわからないでしょ」

アタシはこう返す。

いつの間にかこれが2人の合言葉に なってしまったのだ。


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