秘密のMelo♪y⑧*完結編㊦*
__楓サイド__
「到着いたしました。本当にこのような映画館でだいじょう…」
「うんっだいじょおぶ! ありがとじゃあねばいばいっ」
「ああっΣ真裕様⁉︎Σ」
…すっげ飛び降りたなー、あいつ…。
とても産後間もない体とは思えない。
…とかなんとか言ってる場合じゃねえ。
「待て真裕! 迷子捜索で1日終わることになるだろーが」
真裕に呼びかけながら、慌てて後を追った。
「ごゆっくりどうぞ」
苦笑いの野木さんに見送られたものの、少なくとも俺はゆっくりなぞできはしないだろうなと思った。
下手な子連れよりも大変なんじゃないのか?
「見てーっ! かえくん、見て!! ポスターいっぱいよ! かえくんいるかなあ?」
「いねーよ」
「あっ。あんなところにテレビが。どーして?」
「テレビじゃねーよ」
「ねーあれ食べたい」
「あとでな」
はしゃいではいるものの、どうやら走り出したりはしなそうなのでひとまず安心だ。
というか俺の腕にぶら下がっているのだから、そのまま引っ張られても困る。
楽しそうな真裕をなだめながら、とりあえず素朴な、根本的な疑問をぶつけた。
「で? 何が観たいわけ?」
「……えっ?」
…ああ。
返ってきたのはなんとも想定通りの答えだった。