君と指切り〜桜
体育は見学にした。
大樹は何も言わずに
いてくれる。
柊弥は、私の症状を知らないから、時々こちらを見て心配そうにしていた。
授業後、柊弥は私の元に駆けつけた。
「奈都芽、具合悪いの?」
私の隣に座り前を見据えていた。
「うん、風邪気味なんだ」
「そうか」
少し間を置いて
「あのさ、咲良の事…」
「明日居なくなるんだよね」
「知ってたのか…それで俺達わかれた」
「そっか…」
昨日の咲良ちゃんとの会話の内容は言わないでおこうと思った。
「俺はどうかしてた
奈都芽の事が好きなのに…」
「…」
「奈都芽だって今更そんな事言われても困るよなバカだな俺」
柊弥は体育館の床を見つめたまま小さく溜め息をついた。
「バカじゃないよ…柊弥は」
「…奈都芽は好きな人いるの?」
「いるよ」
「もしかしたら生田?」
「うん」
「なんで大樹なんだ?」
突然、大樹が柊弥の目の前に座り込んだ。
全て聞いてたみたいだった。
「お前…俺だったら文句あんのかよ!」
そう言うと柊弥の胸ぐらを掴み思いっきり押した。
柊弥も負けじと大樹の胸ぐらを掴み
「何すんだ」
「もうナツに構うなよ」
今にも殴り合いがおきそうな勢いだった。
「大樹!柊弥!やめて!!」
大樹はハッとした表情をして、掴んだ手を離した。
私は大樹に手を引かれ体育館を後にした。
「ナツ行くぞ」