君と指切り〜桜

口火をきったのは生田。


「坂上、何かあったのか?」

「ちょっと色々思い出してしまうんだ、僕の恋人も病気で苦しんでいたから」


「坂上、彼女居たのか?」


「彼女は死んだよ、お互いに17才だった」


「ナツは死なない」


「そうだよな、すまない」



「ナツは、もしかしたら記憶が無くなるかもしれない今日だって…」


「今日?」


「ナツは自分の靴を見つけられなかった、そのうち通学路も忘れて俺達の事もわかんなくなる」


「相田が…」


「だから、好きなやつと大事な時間を過ごしてほしいんだ」


「…」


「記憶が全て無くなった時は、もう笑うことすらも無くなるかもしれない
ナツの周りは知らない事だらけになってしまうから
たくさん笑ってほしいし
幸せな時間を過ごさせたいんだ」



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