君と指切り〜桜
あの桜並木ほどたくさんは無いが
屋上から満開の桜が見えた。
「あまり見えないな」
残念な顔をした僕に対して
「大丈夫…充分だよ、先生ありがとう」
柔らかな笑顔になる相田。
「私、絶対に治るから」
「うん」
「そしたら、今度は絶対に見に行こ!あの桜並木」
相田の目は力強く
僕にも力を与えてくれた。
「わかったよ」
相田が右手の小指を差し出してきた。
僕は躊躇なく、その小指に自分の小指を絡ませる。
君と指切り。