君と指切り〜桜
今日は相田と約束していた日。
家に迎えに行くと奈都芽は嬉しそうに僕の腕に飛び込んでくる。
「奈都芽、出掛けようか」
「智輝さん、桜は満開かな?」
僕は相田を奈都芽と呼び
奈都芽は僕を智輝さんと呼ぶようになった。
「見頃だよ」
奈都芽を助手席に乗せて
桜並木に向かった。
「うわぁ綺麗!智輝さん少し歩きたい」
「うん、そうしよう」
パーキングに車を置いて
奈都芽と一緒に歩いた。
「智輝さん見て」
一年前と変わらぬ笑顔にホッとする。
「綺麗だね」
「ありがとう……先生」
今、先生って呼んだ?
「奈都芽!?今、何て…」
「智輝さん、来年もまた見れるかな?」
気のせい?
僕は奈都芽の頭を撫でて
「また見れるよ」
と優しく笑う。
「約束だよ」
嬉しそうに奈都芽も笑った。
再び交わす小指と小指。
僕は君にまた恋をした。