君と指切り〜桜

優しさ


《奈都芽side》


教壇の前で倒れた私を大樹が支えてくれた。


恥ずかしいのと痛いのが重なり顔を上げる事が出来なかった。


私は俯いたまま大樹と保健室に歩き出した。


「大樹、ありがとう」

「うん」

「あのさ…」


「なに?」


「前にもあったよね、こんな風に…助けてくれたよね」

「そうだっけ?」


中学2年の時の体育祭で
リレーの接戦で他のランナーにぶつかり転んだ。
その時男子代表の列にいた大樹は誰よりも先にグランドに飛び出し助けてくれた。
そんなに昔の事じゃないのに…
大樹は忘れたのかな?



「大樹、中学のリレーの時の事、憶えてないの?」


「……そんなことより」


「えっ!?」


「いや、何でもない」

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