君と指切り〜桜

保険証を取りに一旦、家に戻ったのだが誰も居なく
相田は自ら鍵を開けて中に入っていった。

相田はドアの向こうから僕を呼び寄せた。


「先生上がってください」

「…保険証あったか?」


誰も居ない相田の家に上がる訳にもいかない。


「ありました」

そう言いながら生田と共に玄関に出てきた。

そして生田のほうに向き直り


「大樹は学校に戻りなよ」


「ナツ、大丈夫だ俺も行くよ」


相田は僕の表情を確認するように此方を見たが
ここまで来たら、もう仕方がない
何を言っても聞かないだろう。

僕は少し頷いた。


「ん…わかった。なんか大袈裟になっちゃったね」


「何かあってからじゃ遅いんだぞ」


「…だね」



< 45 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop