君と指切り〜桜
相田を連れて窓口で手続きをして外科の前で順番を待った。
相田は、ナースが通る度に話しかけられていた。
「奈都芽ちゃん今日は検査かしら?」
「いいえ、ちょっとコケちゃった」
「まぁ!!気をつけてよ」
「はい」
こんな風な会話が二度ほどあった。
検査という響きが気になって相田に話しかけようとした時
「ナツ!」
しばらく姿が見えなかった生田が現れた。
「ここは生田の御父さんが経営する病院だったな」
「はい…」
生田は相田の横に座り
「ナツ、順番が早まるように頼んできたから」
「いいよ!!待つよ」
「何かあったら、どうするんだ!!」
相田は下を向き、
「大丈夫だよ」
と言う。
それは小さく弱々しい声だった。
そんなやり取りが気になって、相田が診察室に呼ばれた後に生田に聞いてみた。
「相田が掛かり付けということは、どこか悪いのか?」
「さぁ…」
生徒に聞くべきではない事だと後から思った。
僕は、まだまだ未熟者だ。