君と指切り〜桜
「今日から君たちの担任になる坂上です、一年間よろしく!
何か質問があればできる限り答えます、あと個人的な相談があれば遠慮なく職員室に来てください」
初日の挨拶を色々考えてきたが、ありきたりになってしまった。
「先生!」
そう言ってひとりの男子生徒がニヤッと笑った。
僕は思った…よくある質問がきたと。
「はい、何ですか?」
「先生、彼女居ますか?錦戸先生と付き合ってるんですか?」
“やっぱり"
「彼女はいないよ、錦戸紗和(サワ)先生は大学時代からの友人で今も仲良くさせてもらってます」
「ふぅーん、お似合いだけどなぁ」
男子生徒は少しつまらなそうに窓の外に視線を向けた。
紗和と交際してる!?…と
一部の生徒間で噂になってた時期があった。
実際に付き合っているわけでもないから、意識する事も無く堂々としていたし、そんな噂なんてすぐに消えた。
大学時代は友達絡みでよく遊んだりもした。
そして彼女には彼氏がいたし、僕にも彼女はいた。
全てが過去形だが…