君と指切り〜桜

時間になり、ナツに


“行ってきます"


そう言って玄関を出る。


通い慣れた道。

車のフロントガラスに桜の花びらが滑るように真横に流れた。
少し遠目に桜の木を見るともう八分咲きといった感じだった。
昨日、相田に言われなかったら花びらも気にせず季節を通り越していたかもしれない。
僕は桜の美しい姿が見えてなかったんだな。
こんなにも美しい風景を見逃していたなんて…

桜並木の道を歩いてみたくなる相田の気持ちが解る気がした。


< 66 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop