女総長、いざ参らん!

『自分の気持ちに素直になってください』


僕はこう言った。

この時は別に他意は無く、ただ純粋に裕紀ちゃんを仲間として認めてあげて欲しかった。

だが、今思えば、そのせいで土方さんの裕紀ちゃんに対する気持ちに“恋”というものが増えたかもしれない。


総「何やってんだろう…」


そう小さく呟いた時、襖が静かに開いた。


総「あ、裕紀ちゃん。おかえりなさい。」


ニコッと作り笑いを彼女に向け、いつもと同じように接した。

彼女にこの顔を向けるのは久しぶりだ。


チラッとこっちを見て一言言った。


裕「あの、話したい事があるんですけど…」


話したいこと??

なに??

もしかして、告白が成功したとか…??


それだけは聞きたくない。

聞きたくないけど、聞かない理由をそんな咄嗟に作れない。

だから僕はさっきと同じ顔で言った。


総「なんですか??」


彼女は僕に向き合って正座しながら言った。


裕「えっと、その前に、その笑顔はやめてもらえるとありがたいんですけど…」

総「……」


この子はなんでそうゆうところだけ鋭いんだろうか。

こっちにとってはすごく都合が悪い。

この顔をやめれば、僕はどんな顔をして君を見ればいいのかわからない。


裕「あの、沖田さん??」

総「あ、すみません。

そういえば、僕、源さんに呼ばれてたんです。
話は後ででもいいですか??」
< 264 / 273 >

この作品をシェア

pagetop