女総長、いざ参らん!
──────────
〈裕紀が総司の部屋を出た後〉
私はほとんど無意識で廊下を歩いていた。
気づけばある部屋の前に立っていた。
私はその部屋の麩を勢いよく開けた。
─スッパーン
土「そおぉぉ……じ…ぃ??
って、一ノ瀬じゃねぇか。
何してんだよ?」
土方はいつもの癖か、最初に沖田の名前を叫びそうになった。
だが、何かを察しすぐに切り替えた。
裕「ひ、土方さん…どうしましょう…
わ、私……」
土「お、おィ、一旦落ち着け。
話聞いてやるから、取り敢えずそこ閉めてこっち座れ。」
裕「はい…」
いつもと全く様子が違う私に困惑しながらも私に的確な指示を出し、自分の前に座布団を一枚敷いた。
私は土方の指示通りに動く。
土「で? 何があったってんだ?」
煙管を吹かせながら私に聞いた。
裕「じ、実は、私…その、えっと…」
私がなかなか話題を切り出せずにいると、土方はため息をついてから言った。
土「急がなくてもいい。気持ちの整理がついたら言え。
それまでは俺も暇じゃないんで仕事させてもらうがな。」
そう言って土方は私に背を向け、文机に向かい筆を執った。
私はその姿を見て、最初は驚いたが次第に気が抜け顔が綻ぶ。
裕「ふふ…」
土「…何が可笑しい?」
私に背を向けていた土方は笑い声が聞こえると少しだけ体を動かし横目で私を見た。
裕「いえ、なにも。安心しただけです。」
土方は意味がわからないと言わんばかりに顔を歪める。
私は一息おいて、土方と真剣な顔で向き合った。
裕「土方さん、相談したい事があります。」
土「なんだ?」