雨音で奏でて…二人きりの世界

部屋の庭にある露天風呂の周りで

椿の花、サザンカ、
まっすぐに伸びる竹が彩っていた

湯けむりが立つ向こうで

白い荒波が岩の間を寄せては

かえしている

…少しだけど船も見えて

誰も知らない土地でふたりきりに

なれた事を実感している

リビングと寝室、多分…

食事を頂くテーブルと椅子が
置かれている

少し狭い部屋…

寝室にはダブルベッドが置かれ

リビングは畳のところと

フローリングに分かれていて

拓真は着いてすぐに畳に

寝転がってう〜んと伸びている

「ちょっと休憩…」

すぐに寝息を立てている

最近の拓真の仕事はハードすぎた

と思う…若いし、元々健康だから

倒れることなく終えたけれど

部署の何人かは…

辞めたいと大地に訴えてきたらしい

部長も大変なんだよと困っていた

他の同期もよく似た事で頭を悩ませて

いるみたい…

秘書室も今回は流石に…

仕事の多さと出勤の時間に文句が出た

古株たちが早出をする中

若い子たちが何にも感じない…と

いうのは少々問題で

今度の移動では大きく人が動くことが

予想される…