雨音で奏でて…二人きりの世界
芽里のお家の事情を知っているのは

学生時代の友人数人を除いて

聡子だけ…

芽里の父は大学教授

毎晩遅い時間に帰り、半月は出張中

そんな結婚生活は上手くいかず

父には母以外に大切な人ができた

それでも離婚はせず

お金と妻の立場を守り続ける理由は

芽里を片親にしたくないのと

本人の立場を考えてのことらしい

外からみれば綺麗な奥さんと

会社の花形である秘書課に配属され

可愛らしい娘がいる普通の家庭

でも…ドアの向こうでは

母子家庭でさみしい質素な生活

芽里のいつも控え目で遠慮がちな

ところはこの生活から学んだ護身術だ

母が拓真に何処まで話したのか

それを聞いても動じることなく

ご両親に紹介してくれた事。

すぐに仲良くなった母と拓真

芽里は胸の中に常にかかえた

わだかまりが溶けていくのを

初めて経験する…

本当に拓真は優しくて
大きな気持ちの持ち主である事に
感謝する。

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