雨音で奏でて…二人きりの世界
拓真から久しぶりに電話…

「ごめん…連絡もマメにできなくて
情けないけど手いっぱいだ」

「クスクス…拓真がそんな事言うの
初めてだね」

「芽里は?案外元気だな…」

あ、拗ねちゃったかな…

「そう言えば、拓真の荷物
こっちの2階に移しちゃった
勝手にごめんなさい」

「え?芽里が一人で…大変だったよな
俺なんか情けね…明日から頑張るよ
あと10ヶ月半だもんな!」

「来月は…逢えるといいね」

「そう出来るように…頑張るさ」

「クリスマスは…則夫さんたちと
ホテルでディナーだよ
いつもお世話になりっぱなしだから
ご招待したの」

「芽里は…ワガママ言わないのが
欠点て分かってるか?」

「違うよ!私なりに
ワガママ言ってるんだよ…
普通の家族みたいに過ごして
みたくなったんだよ…今までは誰にも
言えなかったけど
則夫さんと輝子さんになら…」

「ごめんな…芽里、
俺はお礼を言わなくちゃ
いけないのにな
最初から逢えない…って決まってる
みたいで
よろしく頼むよ」

「これからはずっと…だもんね
たった一回ぐらいだよ…」

「それもそうだよな!
落ち込む暇あったら残業でもして
芽里になんかプレゼント買う
その方がよっぽどいいな
欲しいもん考えといて
正月には必ず帰るから…」
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