いろはにほへと
おかげで、朝ごはんがイナゴオンパレードになって、半分後悔しかけた。




その上やっとひなのの顔を見て話ができると思いきや、全くかわいくない老眼鏡なんか掛けるし。



大きな目が益々大きくなって、ちょっと怖いし。



俺、好きだって一応言ったのに、全然伝わってないし。





だけどやっぱり虫ご飯だけは耐えられないから、もう何も言わない。




その後草むしりの続きをやっていると、ひなのが洗濯物を干しに来た。



いつものように、ラジオをかけて。





「・・・・」




やがて聞こえてきた、聴きなれた曲に、手がぴたりと止まる。




―またこの曲かよ。






「ていうかさぁ…ラジオ、局変えてもいい?」





本来なら、喜ぶべきなのだろうが、今は、もう、聴きたくなかった。




なのに―。




「だ、駄目ですっ。」




え?




軍手を脱ぎかけながら、局の変更を半ば決定事項のように思っていた俺は面食らう。




どう考えても適当に選局しているようにしか思えないひなのから、反対されるなんて思っても見なかったのだ。
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