いろはにほへと
ラッキーというべきか、アンラッキーというべきか。



それでも自分の作った曲を理解してもらいたい気持ちがあるから。



ちょっと悔しくて、ひなのの老眼鏡をとった。




真っ直ぐに見つめれば、ひなのの顔は直ぐ赤くなる。





「か、返してくださいっ!」






抵抗するその両手首を掴んで、引き寄せれば、戸惑いと羞恥で塗れた瞳が美しく輝く。






虹のせいにして、華奢な掌に指を絡める。







俺にしなよ。





俺が恋を教えてあげるから。




ひなの、俺に恋してよ。



俺の事、好きになってよ。







ねぇ。




あの日、ひなののことを好きって言ったのも。




恋を教えるって言ったのも。



蛍の川で頬にキスした時も。





俺は全部本気だったよ。






馬鹿なキャラを演じてたせいか。


それともひなのが恋を知らなさすぎるのか。





原因は何にせよ。



笑っちゃう位、ひなのには伝わらなかったみたいだけど。
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