いろはにほへと
それでも、いつもの黒板日課をきちんとこなし、席について授業の予習をして、先生が来るのを待つ。
朝のホームルーム前。
クラスメイトがどんどん集まってきて、ちょうど前に座る子が雑誌を広げておしゃべりを始めた。
「ハルさ!帰って来たんだね!」
いつもなら、全く気にしなかったキラキラ女子の会話に、私の耳がぴくりと反応する。
「もうすぐライブあるじゃん?スランプ脱したんかな?」
「でも今日発売した雑誌に、普通にインタビューとか答えてるよ!」
「ホントにスランプだったんかねぇ、こういう情報って大体間違ってそうだよね。」
ワイシャツの男が、屋敷に来てから。
ワイシャツの男の言った事が本当なのか、まだ確かめられていなかった。
あの曲を歌っている人が、トモハルだなんて。
俄かには信じ難い。
テレビ、はないし。
一番手近な所で確認できるのは雑誌。なのだが。
書店、コンビニ。
ハードルが高い。