いろはにほへと
前の子の机の中に、雑誌が仕舞われるのは見たけど、結局放課後まで言い出せなかった。
―結局見れなかった。
力なく肩を落としてとぼとぼと駅に向かう。
途中のコンビニの前で私ははたと立ち止まった。
―ここしか、ないかも。。。
学生で賑わう店内を見つめ、私は唇を噛み締める。
人、いっぱい。
でも、見たい。
雑誌コーナーは一番こっち側にあるのに、そこが一番混んでいる。
行きも帰りもこんな感じなので、いつも前を通り過ぎるだけで、中に入ったことがなかった。
雑誌、どうしよう。
中に入るか入らないかおろおろしていると。
「中条、、、さん?」
背後から私を呼ぶ、女の子の声がした。