いろはにほへと
振り返ると、同じクラスの。
「…澤田さん………」
私の席の前の席の、あの雑誌の持ち主でキラキラ女子、澤田真千子がこちらを見て立っていた。
「どうしたの??コンビニ、入るの?入らないの?」
不思議そうな顔で、澤田が尋ねるので、慌てて首を振る。
「は、入りません!入らないです!!!」
見られていたことが恥ずかしくて、顔が熱くなった。
「………何か用事があったんじゃ…?」
澤田が怪訝な顔して私をじっと見つめる。
「!!」
ここで私は何故こんなに澤田と目が合うのか不思議に思い、前髪がないことに気付く。
ばばっと手で顔を隠すと、澤田は益々私を覗き込むようにして見つめた。
「…他校の子たちがいて入りにくいんなら一緒行ったげようか?」
「-え」
澤田はにこっと笑って、二つに結った明るい髪を揺らす。