いろはにほへと
今なら、言える気がして。
「…あ、貴方に、、会えたことも、、、懐かしいです…」
青柳さんの家に便乗して、トモハルに言うと。
彼は一瞬驚いたような顔をした。
「もう一度…会えるなんて、、思ってもみませんでした…。」
そこまで言えば、顔を合わせているのがもう難しくて、俯く。
長い髪が、周囲を見えなくしてくれる。
すると。
「……ごめんね。」
ふぅと落とされた息と共に出された謝罪の言葉。
求めていたわけじゃない。
我慢していたわけじゃない。
なのに、自然と目に涙が溜まる。
「何も言わないままで、ごめん。」
緊張しているのか、トモハルの声がいつもと違って聞こえる。
「何にも知らない、ひなのの傍にいるのが、楽だった。」
ツキン、と胸が痛んだ。
氷の刃のカケラが、心臓の中に入ったみたいだった。
「だから、知らないなら、そのままで居て欲しかった。時間の問題だっていうことはわかってたけど。」