いろはにほへと
大切なこと
「ねぇー、ごめんってば、ひなのー。」
蛍の川からの帰り道。
案の定、行きと変わらず、私の後ろをトモハルがとぼとぼと付いてくる。
「・・・・」
私はさっきから完全無視を決め込んで、ただひたすら姫子さんの家を目指した。
「ちょっとした、行き違い?って奴じゃん?勘違いしちゃったのは俺だから、悪いのは俺だけど!」
タタタ、と軽快な音と共に、加速したトモハルが、私の前に来て顔を合わそうとするけれど。
「ひなの~??」
私の視界に、この男を入れてなるものか。
思いっきり逸らして、早歩きの速度を上げた。
「ちゃんと俺からまこちゃんに謝るし断るから!!だから、許して!ね?!ひっ!!!」
必死で謝るトモハルの語尾に悲鳴が混じったような気がして。
それと同時に足音も止んで。
「?」
不思議に思った私は、仕方なく振り返った。