いろはにほへと
「おはようございまーす。」
「おはよう、、ございます…」
早川さんにくっついてテレビ局の中に入ると、口々に挨拶が飛び交う。
挨拶は大事だと思ってはいるが、何しろ声が小さいので、相手に届いているのかどうか怪しい。
ていうか…。
トモハル、居ないんですね…。
予想していなかった事実を、把握しつつある私。
なんとなくずっと一緒に居てくれるような気でいたけれど、よく考えれば一緒に撮影する訳じゃないのかもしれない。
だけどちょっと…いやかなり…不安だ。
「とりあえず、控え室に荷物置いて、監督に挨拶しに行こう。」
なんとか表面を取り繕い、早川さんに言われるままに、荷物を空の部屋に置いて直ぐに廊下に出て、監督とやらが居る部屋まで向かった。
のだが。
「あ、羽柴監督!」
途中の喫煙所みたいな所に居たらしく、早川さんが目の前で急に名前を呼んで立ち止まる。