いろはにほへと
「…………―」
羽柴監督、静止すること三秒。
一度固まった視線が漸く、私へと向けられて。
「…………―は?」
その視線を再度早川さんへと戻した。
「ふざけてるの?こんなどんな顔かわかんないような子?負のオーラ満載に背負ってるこの子?!」
「そうです!」
……いや。最後のは、否定して欲しかった…ような…。
元気良く返事をした早川さんに、私はがくりとずっこけた。
「今が旬の人気モデルより、こっちのが、那遥くんのイメージに合う、と。本気で言っているのかな。」
続いた羽柴監督の怒っているような口調に、私はいたたまれなくなってくる。
「遥だけでなく―、私も、ルーチェのメンバーもそう感じています。」
隣に立つ早川さんが放った言葉に、私は目玉が飛び出そうになった。
―メンバーと私会ってませんけど!?