いろはにほへと
「はぁ~…なんとか第一関門突破って所か…」




控え室には、大きな化粧台のような鏡と椅子があって、テーブルの上には、お菓子がカゴに盛られていた。



そこに先に入った早川さんが、ほっと胸を撫で下ろしたように呟く。




「頑張りましたね、、早川さん…」



口からつらつらとあんな風に出任せが出てくるなんて、感心してしまう。




「こうなったら、早く流れを頭に叩き込んでもらわないと!君、遥から曲のこととか聞いてる?」




労いの言葉を呟いた私を、早川さんが振り返った。





「あ、えっと、、『蛍石(ほたるいし)』って歌だってことだけ…」



「あいつ、それだけか…説明不足も不足過ぎだな。」




私の返答に、早川さんが呆れた顔をした。



「蛍石ってフローライトとも言うんだけど…その石がどんな石か君知ってる?」




「え…」




知ってるっていうより、、実在すると思わなかった。

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