いろはにほへと
―き、きつい…
トモハルの声に。
新しい曲に。
胸が苦しくなる。
途中、歌詞カードが目で追えなくなるほど、涙が溜まってしまって、それが早川さんにバレないように、なんとか取り繕うけれど。
「…意外だな。君はもっと淡々と聴くんだと思ってたよ。」
曲が終わったと同時に、そう言われた。
もろバレ。
「この気持ちが、わかる程、辛い恋でもしてるのかな?」
「!」
何の気もなしにいったのかもしれない、もしくは反対に探るつもりだったのかもしれない早川さんの一言は。
トモハルへの想いは、絶対に周囲に漏れることがあってはならない、と私に再決意させた。
知ってしまったこの苦しい恋を終わらせる為に、自分は、こんなキャラに合わない撮影を引き受けたのだから。
伝えるつもりなんて、最初からないのだけれど。