いろはにほへと
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撮影のストーリーの主人公は、男の子。
ある雨の降る朝、青白い部屋の中で目を覚ます所から物語は始まる。
彼は、隣の家に住む幼馴染みの女の子に、もう何年も恋をしているのだが、認めることが出来ないまま、苦しい時間だけが過ぎていく。
一緒に登校して、一緒に家を行き来して、学校も一緒なのに。
女の子は別の誰かをずっと想っている。
それを知った上で、叶う筈もないのに、意思とは裏腹に生まれてしまった小さな恋心。
そしてそれは女の子も同じで。
一方通行な気持ちだけが、止まることなく、ただただ長く伸びていってしまう。
いっそのこと、こんな想いが無ければ良かったのにと思わずには居られないのに。
やめてしまえばいいのに。
身体が、目が、勝手に動いて追ってしまう。
そんなある日、友達と行った花火大会で、好きな女の子が知らない男と歩いているのを見つけてしまい。
気が気じゃなくなって、ついつい追いかけてしまうけれど、自分でも何がしたいのかわからない。
自身に呆れ、人ごみに紛れ、見失って、項垂れた背中に、打ち上げられる花火。
一方、女の子は、想い人を諦める為に付き合った男と馴染むことができず、結局花火を最後まで観ることなく一人で帰ろうとする。
そして、偶然出会う二人。
お互いにほっとしつつ、なんとなく隣を歩く。
そこに漂う、蛍の光。
さっき打ち上げられた大きな花火よりも、帰り道に見た蛍の方がよっぽど綺麗に映る。
それはお互いそうなのだけれど、口には出さずに、ふたりはまたいつものように一定の距離を保って、さよならをする。