いろはにほへと
撮影っていうのがどういうものなのか、未だによくわからないけれど。





「ここだよ。」




前を行っていた早川さんに促され、スタジオに入ると。




「!」




人、人、人。




予想以上の人の多さに、言葉を失い、ついでに足の動きも止まった。





「何してるの?ただでさえちょっと待ってもらってたんだから、急いで挨拶しないと!」




「う、あ、はい…」




焦らせる早川さんの言葉にかろうじて返事しながら。


ばくばくする心臓の動きに戸惑いを隠せない。



つまり、ド緊張。



いまだかつで、ここまで緊張した記憶はない。



何故なら人との接触は、ずっと避けてきたから。



なのに。



人と同じ数ほどいるんじゃないかと思う程のカメラ、機材。





―しまった。





今更ながら気付く。




自分は、写真を撮られることが、苦手なのだということに。
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